Why May Has Two Birthstones

5月の誕生石|エメラルドと翡翠が選ばれた理由

 

 公開日:2026年5月4日

 

5月の誕生石は、エメラルドと翡翠。他の月と比べても、この組み合わせは少し特別です。単に「緑だから」という理由ではありません。そこには、西洋と東洋、それぞれの文化が重なった背景があります。今回は、5月にこの2つが選ばれた理由を、順を追って整理します。

著者・宝石撮影:嶋直樹
一般社団法人日本ジュエリー協会認定 1級ジュエリーコーディネーター
一般社団法人日本真珠振興会認定 パールスペシャリスト

本記事の宝石・ジュエリー写真は、主に嶋直樹が実物を撮影しています。宝石は光や角度で表情が変わるため、できるだけ実物に近い印象でお伝えしています。

エメラルドとヒスイ

 

宝石名

鉱物種

主な特徴

エメラルド

ベリル

鮮やかな緑色が魅力。内包物を含むことが多く、色の深さと透明感が見どころ

翡翠(ヒスイ)

ジェイダイト

しっとりとした質感と落ち着いた光沢が魅力。日本や東洋文化と深く結びつく宝石

1)エメラルドが5月になった理由|西洋における「再生の象徴」

 

エメラルドが5月の誕生石として定着した背景には、西洋の宝石文化があります。

近代的な誕生石の原型は、1912年にアメリカの宝石業界団体によって整理され、5月の宝石としてエメラルドが位置づけられました。現在もGIAでは、エメラルドを5月の誕生石として紹介し、春にふさわしい「再生」と「新たな始まり」を思わせる宝石と説明しています。

緑は古くから、再生、成長、豊かさを感じさせる色です。

春の終わりから初夏へ向かう5月は、自然の生命力がいっそう濃く感じられる季節。その象徴として、エメラルドの鮮やかな緑が5月と結びついたと考えると、とても自然です。

宝石として見ても、エメラルドは内側から光が湧き上がるような緑の深さが魅力です。
エメラルドの緑は、微量に含まれるクロムやバナジウムによって生まれます。透明感、色の濃さ、インクルージョンを含めた個性。そのすべてが重なって、エメラルドならではの生命感を生み出します。

写真:コロンビア産エメラルド
写真:エメラルドリング(オーダーメイド)

2)翡翠が5月に並ぶ理由|日本と東洋の価値観

 

翡翠は、エメラルドとは異なる文化の中で大切にされてきた宝石です。

東洋では古くから、翡翠は徳や長寿、調和を感じさせる石として扱われてきました。日本でも縄文時代から使われ、勾玉などに見られるように、装飾品であると同時に、特別な意味を持つ石として受け継がれてきました。

日本では、1958年に誕生石が発表された時点で、5月にはすでに「エメラルド・翡翠」が並んでいました。現在のJJAの誕生石一覧でも、5月は「エメラルド」と「ジェイダイト(ヒスイ)」の2つです。

日本の宝石文化を映す、5月の大切な誕生石です。

宝石としての性質も、エメラルドとは対照的です。
エメラルドが透明感と鮮やかな光で魅せる宝石なら、翡翠は緻密な質感と、しっとりとした落ち着きで魅せる宝石です。

 

写真:ミャンマー産ヒスイ
写真:糸魚川ヒスイ原石とネックレス
写真:ヒスイ海岸

3)新潟・富山にゆかりのあるヒスイ

 

J.C.BARのサロンがある富山県にも、ひすい海岸として知られる場所があります。休日には、全国から多くの方が訪れ、ひすい探しを楽しんでいます。富山に店を構える私たちにとって、翡翠はどこか身近で、土地の記憶ともつながる宝石です。糸魚川ゆかりのヒスイは、2016年に日本鉱物科学会によって日本の「国石」に選ばれています。

 

4)ふたつの緑が意味するもの|文化は違っても本質は近い

 
エメラルドとヒスイは同じ緑でありながら、雰囲気は異なる宝石ですが、爽やかなだけでなくどこか高貴な印象を与え、実際に王に求められたという歴史があります。

そのため日本のジュエリーの中でも初期の頃から憧れの宝石として浸透してきました。

だからこそ、時代を超えて長く愛される宝石としてリフォームのご相談も多くいただきます。

写真:エメラルドペンダント(リフォーム)
写真:ヒスイブローチ(リフォーム)

まとめ|どちらも選ばれ続けている理由がある

 

5月の誕生石は、“選ぶ宝石”であると同時に、“惹かれる理由のある宝石”でもあります。

エメラルドは、西洋の自然観から生まれた宝石。
翡翠は、東洋の精神文化から受け継がれた宝石。

この2つが重なることで、5月という季節がより豊かに表現されています。

エメラルドは、生命の力強さを感じさせる宝石です。
色の奥行きに惹き込まれるような魅力があります。

翡翠は、長く寄り添うような宝石です。
身に着けるほどに、落ち着いた美しさが心に残ります。

是非美しいふたつのグリーンカラー宝石をJ.C.BARのサロンでお楽しみください。

取り扱い・ケア


エメラルドは内包物を含むことが多く、衝撃や急な温度変化に注意が必要です。超音波洗浄は避け、ぬるま湯と中性洗剤でやさしく洗い、柔らかい布で水分を拭き取ってください。
翡翠は比較的安定した宝石ですが、強い衝撃は避けてください。使用後は柔らかい布で軽く拭き、他の宝石とぶつからないように保管することをおすすめします。

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