クンツァイトとは

1級ジュエリーコーディネーター嶋直樹のブログ『一粒万倍』
クンツァイトとは

色とりどりのピンキッシュパープルの色相から、愛の象徴とも言われるクンツァイト。9月の新誕生石として選ばれ、今注目を集める奥深い美しさとその特徴を1級ジュエリーコーディネーター嶋直樹がご紹介します。

 クンツァイト ーKunziteー

鉱物

スポジュメン(リチア輝石)

化学組成

LiAlSi₂O₆

淡いピンク~濃いピンク,紫とピンク系の幅広い色合い

屈折率

1.660~1.676

複屈折

0.014~0.016

比重

3.18

モース硬度

6.5~7.0

 

1900年代人類が出会った新しい宝石

1900年代人類が出会った新しい宝石

クンツァイトは、数千年の歴史がある宝石の世界では極々新しい部類に入る宝石です。

カリフォルニア州サンディエゴで発見されたこの石は、はじめはその透明度の高さや硬度から水晶だと思われていました。

しかし、1902年鉱物学者ジョージ・フレデリック・クンツ博士によってそれまで知られてなかったスポジューメンのピンク色の変種だという事が解明されました。

このことからクンツ博士に敬意を払いその名から取ってクンツァイトと名づけられました。

日本の9月の新誕生石に加わったクンツァイト

このクンツ博士の誕生月が9月であることこから、サファイアに加えて新しい誕生石に追加されました。
何千年という歴史を経ている宝石が数ある中110年程前に発見されたクンツァイトはまだ地球レベルでは新しい宝石と言えます。

 現代に生まれたからこそ、クンツァイトの美しさを身近に感じることが出来ると思うと、私はこの美しいピンクをより愛おしく感じます。

クンツァイトの原石

クンツァイトの原石

クンツァイトはアメリカやブラジルなどのペグマタイト中にあり、水晶やトルマリン、他の色のスポジューメンなどと共に産出します。

硬い粘土の中から、手作業で丁寧に掘り出される原石は板状に平行な筋が入っているのが特徴です。

比較的、大きな結晶が採れやすくクリアな石もありますが、粘り気のある泥を取り除いた中から現れる結晶の多くは濁りがあり黄色を帯びています。

実際に市場に出回っているクンツァイトの中でも薄っすらと黄色が混ざった色のものを数多く見かけます。

宝石としてのクンツァイト

宝石としてのクンツァイト

そんな中で出会う最高品質の宝石としてのクンツァイトは格別な美しさで見るものを虜にする十分な値があります。

様々なピンク色宝石の中でも、クンツァイトのパープリッシュピンクは独特であり、ライラックやアイリスなど美しい花々に例えられる程美しいからです。

日本で生まれ育った私としては、梅雨に濡れる紫陽花の紫や青色が重なる情景を見ると、美しく輝くクンツァイトを思い出します。1枚目の写真はそんな思いを表現したく紫陽花とクンツァイトを撮影したものです。

最高の色

最高の色

写真のクンツァイトはトップグレードのカラーです。ピンクの奥に青みがかった紫を秘めている事がご覧頂けると思います。

クンツァイトは原石の方向によって色の濃淡が全く異なって見える宝石でありカッターはその方向に注意してカットします。

一番色濃く見える角度を石の正面とした見事なカラーのクンツァイトをルーペで覗くと、どこまでも広がる色の部屋に迷い混むような幻想的な世界が広がります。

 

愛の象徴として

新しい宝石にも関わらずクンツァイトは様々な宝石関連書物で愛の宝石というイメージが定着しています。

私のポリシーとしては発見されてから間もない宝石のパワーはあまり意識しないのですが、クンツァイトの可憐なパープリッシュピンクは短期間に愛の石と印象付けられるに十分な美しさを持っていたのかもしれませせん。

愛の取り扱いは気を付けて

愛の取り扱いは気を付けて

ただし、この美しさをキープするには「愛」と同じく、その特徴を知り大切に扱わなければいけません。クンツァイトの場合割れやすさと色褪せについてです。

クンツァイトはモース硬度(引っ掻きに対する硬さ)6.5~7と、十分なのですが完全な劈開を持っていているため衝撃にはとても弱く、割れやすい性質を持っています。

また、色においては太陽光で退色してしまう可能性があり強い光は特に避ける必要があります。

指輪なら日常的には使わない、綺麗だからと言って太陽光が当たる窓際においたままにしないなどお気を付けください。

宝石撮影/文・嶋 直樹

(一社)日本真珠振興会 認定 スペシャリスト
(一社)日本ジュエリー協会1級 ジュエリーコーディネータ―

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他にも色々クンツァイトのおはなし

鉱山にバーチャル旅行

アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ
オーシャンビュー鉱山


クンツァイトの採れる鉱山として紹介されているオーシャンビュー鉱山。宝石の産地の一部は観光地化しているところもあり、こちらも大人も子供も楽しそうに石探しをしているのが印象的です。

同じエリアでも観光とプロが採掘する現場は別物ですが、Google MAPで紹介されている現地の写真を見ると参考になると共に胸がわくわくします。

ご興味のある方はMAPのリンクからちょっとした旅気分をお楽しみください。

…そうそう、旅が終わったらまた当ブログへお戻りになることもお忘れになりませんように。

クンツァイトのジュエリー

 Kunzite

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