宝石撮影/文・嶋 直樹
(一社)日本真珠振興会 認定 スペシャリスト
(一社)日本ジュエリー協会1級 ジュエリーコーディネータ―
珊瑚の成分はほぼ炭酸カルシウムであるためとても柔らかく、固いものにぶつけると簡単に傷がついたり、欠けてしまったりする可能性が高い宝石です。
歯と同じくらいの硬さと想像して頂くと、何となくその感覚を想像して頂けるかもしれません。
一番は衝撃を与えない事。
ネックレスやブローチを着けていて壊れることはありませんが、着脱する際に硬い床に落とすなどのことがないよう指輪として身につける時は特に気を付けてお使いください。
また、汚れをふき取る時も力を入れてはいけません。
強く拭くと却って小傷を付け、それによって光沢を失う可能性があるからです。
ジュエリークロスなどの柔らかい布で優しくそっと拭きましょう。
炭酸カルシウムは衝撃だけでなく、汗や酸で溶けやすいという性質もあるのでそれらには要注意です。
日常的なリスクになる酸の例として果汁やドレッシング、化粧品などがあり、それらが付着することで色が変色したり光沢を失ったりする可能性があります。
もし汗ばむ程、暑い季節に珊瑚のネックレスやブレスレットなどを地肌に直接身につけた時は、濡らして絞った布で拭き、その後乾拭きをすることをお勧めします。
また、ヘアスプレーや香水をお使いになる方はお出かけ前の身支度が全て終わった後に身につけることでリスクを軽減することが出来ます。
日常生活で宝石やジュエリーに熱が加わることは滅多にありませんが、高熱は珊瑚にとって大敵です。
熱は珊瑚にひび割れや変色など、取り返しのつかないダメージを与えます。夏の車内に置いたままにすることやファンヒーター、ストーブなどの近くに置くことは厳禁です。
もし濡れたとしてもドライヤーで熱を加えながら乾燥させることは絶対に避け、しっかりと水分を取り除いた後は自然乾燥させてください。
珊瑚は海で採れるものなので水には強いと思われることがありますが、水道水は出来るだけ避けることをお勧めします。
高品質な珊瑚でも目立たない所には自然の証である「むし穴」と呼ばれるものが開いており、目に見えない程の無数の小さな穴も存在するため水分が残ったままだと変質につながります。
綺麗な水道水であっても珊瑚にとってはダメージとなる性質の場合もあります。
温泉は熱、プールはカルキなどの成分が珊瑚にダメージを与えるため必ず外してください。
とはいえ、極度な汗や酸による汚れはそのままにしておくと重大なダメージとなる場合はあるので、さっと水洗いをしてから水分をふき取り自然乾燥させて下さい。
使用中や使用後のケアについてご紹介しましたが、ここからは保管する際に気を付けて頂きたいことをご紹介します。
使用後は必ず柔らかい布で拭いてからしまう習慣をつけてください。
何よりこれが珊瑚のダメージを避ける一番の方法です。
しまう際にはケースかポーチに個別に入れるのがお勧めです。
時々お客様から部屋の壁やジュエリースタンドにネックレスをかけておくという事をお聞きしますが、金具などで珊瑚が傷ついてしまう可能性が高く、また直射日光や熱などで色が退色する可能性もあります。
沢山ジュエリーが入るジュエリーケースをお使いの方は、決して他のジュエリーと珊瑚がぶつからないように区切りを付けるなどして下さい。
ダイヤモンドやルビーをはじめとしたほとんどの宝石、そして金やプラチナも珊瑚より硬く、軽くぶつかるだけでも簡単に傷がついてしまうからです。
色に関してのトラブルは修復が難しいのですが、光沢に関しては磨き直しなどで修復することが出来る場合もあります。
他にも珊瑚のネックレスやブレスレットが伸びてしまったり、切れてしまった時はお気軽にご相談下さい。
以上、珊瑚のお手入れと保管方法についてご紹介しました。
真珠や珊瑚など有機質の宝石は気を付けるポイントがありますが、一度覚えてしまえばそれ程難しくはありません。
適切なお手入れをし、末永く美しい珊瑚の色と艶をお楽しみください。
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