2026/03/11

3月11日に思うこと。大切なジュエリーを、もしもの時にどう守るか

How to Protect Your Precious Jewelry in an Emergency

はじめに

 3月11日が来るたびに、東日本大震災のことを思います。

そして北陸に暮らす私たちにとっては、能登半島地震もまた、決して遠い出来事ではありません。

 被害に遭われた皆さま、今もなお不自由な日々の中におられる皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

大切な方を失われた方、暮らしそのものが大きく変わってしまった方のことを思うと、簡単には言葉にできない思いがあります。

 

災害の時に大切なジュエリーを守るために

 

私たちはジュエリー専門店です。

日々、宝石や真珠、ジュエリーに向き合う立場として、多くのお客様のお話を伺ってきました。

その中で、震災のあとに何度も耳にしたのが、

「大切なジュエリーを持ち出せなかった」

という声でした。

結婚記念の指輪。

婚約指輪や結婚指輪。

親から贈られたパールネックレス。

退職の記念に選んだお気に入り。

代々受け継がれてきた形見のジュエリー。

それらは単なる装身具ではなく、人生の節目や家族の記憶が重なったものです。

だからこそ、失った時の喪失感はとても大きいのだと思います。

今日は、緊急時に備えてジュエリーをどうしまっておくか。

ジュエリー専門店として、できるだけ無理のない備え方をご紹介します。

富山にいる私たちにとっても、決して他人事ではありませんでした

 

石川県能登に近い氷見市は、J.C.BARの創業者であり、私の両親でもある嶋龍仁、早苗夫婦のルーツのある場所です。

また、隣接する伏木は、社長が生まれ育った町でもあります。

能登半島地震では、このエリアも富山県内では被害が大きく、家屋の倒壊や危険判定によって家の中に入れない方も少なくありませんでした。

私たちもその状況に胸を痛めていました。

少し落ち着いてからお店に来てくださったお客様のお話の中にも、忘れられないものがあります。

 

「家は完全には倒れなかったけれど、危険で入れなかった」

「婚約指輪や結婚指輪、親から贈られた真珠のネックレスがそこにあると分かっていても、取りに行けなかった」

「ジュエリーが好きだから数もあり、とても持ち出し切れなかった」

災害時は、落ち着いて判断できるとは限りません。

時間も、体力も、両手の空きも限られます。

だからこそ、普段から「どこに、どうまとめておくか」が大切なのだと感じています。

 

ジュエリーは、非常時ほど「どこにあるか」が大事になります


災害時には、まず命を守ることが何より大切です。

その中で、ジュエリーまで落ち着いて探したり、全部を持ち出したりするのは、現実には難しいこともあります。

だからこそ、普段から「何を優先して持ち出したいか」を少し考えておくだけでも、備えとしては十分意味があります。

大切なのは、完璧に準備することではなく、無理のない形で整えておくことです。

ジュエリーは、非常時ほど「どこにあるか」が大事になります

 

災害時の備えというと、食料、水、薬、充電器などがまず頭に浮かびます。

もちろんそれが最優先です。

その一方で、ジュエリーは小さく、思い出も価値も詰まっているのに、いざという時には散らばっていて持ち出しにくいものでもあります。

引き出しに一つ。

寝室に一つ。

バッグの中に一つ。

箱のまま棚の奥に一つ。

こうした状態だと、緊急時に探して回ることは難しくなります。

ジュエリーの備えで大切なのは、

大切なものを、持ち出しやすい形でまとめておくことです。

まずは、汎用品ではないジュエリーを一か所に


毎日身につけるジュエリーは別として、日常的には使わないものは、できるだけ一か所にまとめておくのがおすすめです。

 

汎用品ではないジュエリーを一か所に

 

特に、思い出のあるもの。

代わりのききにくいもの。

形見や記念品。

真珠や色石など、扱いに少し注意が必要なもの。

こうしたジュエリーは、普段から置き場所がはっきりしているだけでも、いざという時の動きやすさが変わります。

しまう場所は、棚の奥深くではなく、緊急時にさっと持てるところが理想です。

そして、日によって置き場所を変えないことも大切です。

ケースから出した方がよいもの、出さない方がよいもの

ケースから出した方がよいもの、出さない方がよいもの

 

心配な方は、ケースから出して、個別にジップ付きの小袋へ入れておくと、かさばりにくくなります。

箱のままだと場所を取るジュエリーも、整理しやすくなります。

ただし、すべてのジュエリーに向くわけではありません。

比較的向いているのは、地金中心のジュエリーや、しっかりした作りのリング、ペンダントなどです。

一方で、真珠、珊瑚、オパールなど、デリケートな素材を使ったジュエリーや、立体的で変形しやすいものは、ケース保管の方が安心な場合があります。

コンパクトにまとめることも大切ですが、守ることとのバランスを見ながら考えることが大切です。

保有数が2〜3点くらいの方へ

保有数が2〜3点くらいの方へ

 

数が少ない方は、まず一か所にまとめておくだけでも十分意味があります。

あちこちに置かず、「ここに入れておく」という場所を決めておくことが大切です。

それだけでも、緊急時の迷いはかなり減ります。

いざという時、探す時間が短くなるだけでも大きな違いがあります。

できれば、非常持ち出し袋の近くなど、すぐ手に取りやすい場所が安心です。

普段から置き場所を変えないことも、大切な備えのひとつです。ケースごと持てる形にしておくと、さらに動きやすくなります。

まずは難しく考えすぎず、置き場所を決めるところから始めてみてください。

 

保有数が5〜10点くらいの方へ

保有数が5〜10点くらいの方へ

 

このくらいの数になると、普段よく使うものと、あまり使っていないものが少しずつ分かれてきます。

おすすめしたいのは、一度取り出して状態を確認してみることです。

これは防災のためだけでなく、メンテナンスの確認にもつながります。

留め具は緩んでいないか。
チェーンは絡んでいないか。
真珠や色石に気になる変化はないか。

見直していくと、
「よく使うもの」
「思い出のあるもの」
「今はあまり身につけていないもの」
と整理しやすくなります。

迷う場合は、信頼できるジュエリー店に相談するのも一つの方法です。

保有数が10点以上ある方へ

保有数が10点以上ある方へ

 

ジュエリーがお好きな方であれば、10点を超えることは珍しいことではありません。

ただ、数が増えるほど緊急時にすべてを集めて持ち出すのは難しくなります。

また普段でも、「どのジュエリーがどの箱に入っているか分かりにくい」というお話はよく伺います。

そのため、一度手持ちのジュエリーを見直しておくことをおすすめします。

よく使うもの、特別な機会につけるもの、思い出があって手放しにくいもの。そうして分けておくと、頭の中も収納もすっきりします。

災害時の備えは物を減らすことが目的ではありません。

守りたいものを見極めておくことに意味があると思います。

宝飾専門店が考えた、防災時のためのジュエリーポーチ

宝飾専門店が考えた、防災時のためのジュエリーポーチ

 

こうしたお客様の声を受けて、J.C.BARでは防災時を意識したジュエリー専用ポーチ

[ジュエル・ニド]

を作りました。

ここでお伝えしたいのは、何かを強くおすすめしたい、ということではありません。

実際にさまざまなお話を伺う中で、

「ジュエリーを守る備えがあってもよいのではないか」

と感じたことを形にしたものです。

創業30周年を迎えるJ.C.BARが、お客様のお声をもとに考えたのは、

緊急時に持ち出しやすいこと。

そして、その前にジュエリー同士が傷つけ合わないこと。

その両方でした。

ジュエル・ニドには、そうした視点からの工夫があります。

 

 

大きく開くファスナーで中が見やすいこと。

ネックレスが下にたまりにくいように工夫されていること。

リングを安定して収めやすい仕様になっていること。

小分けしやすい袋や、整理しやすいシールが付いていること。

個別に小袋へ入れてから収納することを前提にしているため、整理しやすく、あとから見返した時にも分かりやすい作りです。

 

防災時を意識したジュエリー専用ポーチ  [ジュエル・ニド]

 

また、こちらのポーチは富山県・石川県の企業と連携して製作しています。

石川県かほく市の企業にも一部製作をお願いしており、被災地とつながるものづくりの一つでもあります。

売上の一部は、能登半島地震の被災地への寄付に充てています。

防災用品というと、どうしても無機質になりがちです。

けれどジュエリーには、それぞれの持ち主の物語があります。

だからこそ、ただ収納するためだけのものではなく、気持ちの面でも納得できる形を目指しました。

▶ 防災ジュエリーポーチ「ジュエル・ニド」:詳しくはこちら

 

大がかりでなくても、今日できる備えがあります

ジュエリーを守るために

 

防災というと、何か大きなことを始めなければいけないように感じるかもしれません。

けれどジュエリーについては、まず次のことだけでも十分意味があります。

大切なジュエリーの場所を決めること。

思い出の強いものを把握しておくこと。

持ち出しやすい形を少し考えておくこと。

それだけでも、いざという時の動き方は変わってきます。

ジュエリーは、暮らしの必需品ではないかもしれません。

けれど、人生の節目や大切な人の記憶と深く結びついていることが多いものです。

だからこそ、過度に構えすぎず、でも後回しにしすぎず、

守りたいものを、守れる形にしておく。

3月11日という日に、そんなことを静かに考えるきっかけになればと思います。

 

LINEでのご相談について


展示会では、田代和美デザイナーにご覧いただきながらお手持ちの宝石やジュエリーのオーダー・リフォーム相談をすることも可能です。

事前にLINEで写真をお送りいただけますと、当日のご提案がよりスムーズになります。

遠方の方も全国対応可能です。

どうぞお気軽にご相談ください。

 

▶︎ 写真相談は全国対応可能です:詳しくはこちら

1級ジュエリーコーディネーター 嶋直樹
著者:嶋直樹(J.C.BAR)

宝石、ジュエリー選びのご相談は、店頭・オンラインどちらでも承っています。富山の店舗には全国からご来店いただいており、遠方の方へは全国対応可能です。

1級ジュエリーコーディネーター/(一社)日本真珠振興会 真珠検定委員会 認定 真珠スペシャリスト(SP/日本で2人目)
店舗情報:J.C.BAR(富山)|店頭でのご相談・真珠の実物確認/公式LINEでのご相談/お取り置き対応

更新日:2026/3/11

富山県公安委員会許可 第501150000183号

取り扱い・ケア

真珠、珊瑚、オパールなど、デリケートな素材を使ったジュエリーは、強い圧迫や摩擦、乾燥に注意が必要です。

コンパクトにまとめたい場合でも、素材によってはケース保管の方が安心なことがあります。

また、しまう前に汗や汚れをやさしく拭き取っておくと、状態の維持にもつながります。

迷うものは無理に自己判断せず、素材ごとの特性を確認しながら保管なさってください。

 

当コラムの写真・画像はすべて弊社オリジナル、または権利を有するものです。無断転載・無断使用はご遠慮ください。ご利用の際は事前にご連絡をお願いいたします。

J.C.BAR News