本記事の宝石・ジュエリーの写真はすべて、1級ジュエリーコーディネーター嶋直樹が実物を撮影したものです。宝石の表情は光や角度で変化するため、できるだけ実物の印象に近い形でお伝えしています。
ホタルイカみたいなダイヤモンド|蛍光(Fluorescence)の青い光
Hotaru-Ika Blue & Fancy Fluorescence

はじめに|富山の春、海に浮かぶ青い光
この時期の富山の海の旬として見逃せないのがホタルイカです。
真っ暗な海にふわっと浮かび上がる青色の光。その幻想的な景色を一度は見てみたいと、多くの方がJ.C.BARのサロンがある春の富山を訪れます。
自然が見せる、あの静かな青。
実は宝石の世界にも、それに似た“光る現象”があります。

1)ホタルイカのように光るダイヤモンド
ホタルイカの青い光にそっくりな発光を見せることがあるのが、ダイヤモンドの蛍光(Fluorescence)です。
ブラックライト(紫外線)を当てると、暗闇の中で青色に光る個体があります。
まるで海に浮かぶホタルイカのような表情です。
蛍光とは、紫外線を受けたときだけ発光する現象。
光源を外せば発光は止まります。

※写真:通常光下のダイヤモンド

※写真:暗所でブラックライトを当てたダイヤモンド
同じ紫外線でも写真のように光り方が異なり
None(なし)
Faint(弱い)
Medium(中程度)
Strong(強い)
Very Strong(非常に強い)
という段階で評価されます。
2)ホタルイカの光と蛍光の違い
見た目は似ていますが、仕組みはまったく異なります。
ホタルイカは体内の発光器で化学反応を起こし、自ら光を生み出しています。
これは「生物発光」と呼ばれるものです。
一方、ダイヤモンドの蛍光は、外から受けた紫外線のエネルギーを別の波長の光として放出している物理現象です。
ホタルイカ=自ら光る
ダイヤモンド=紫外線に反応して光る
自然の生命現象と鉱物の物理現象。
似て非なるものだからこそ、どちらも奥深い魅力があります。

※写真:通常光でも蛍光性を感じさせるカラーダイヤ
非常に強い蛍光(Strong / Very Strong Blue)を持つダイヤモンドは、紫外線を含む強い太陽光の下では、ブラックライトがなくても肉眼でわずかに青みがかって見えることがあります。
その青みが、夜の富山湾で青く光るホタルイカを思わせることもあります。
3)GIAの見解|蛍光は個性のひとつ
GIA(米国宝石学会)は、蛍光を単純に「良い」「悪い」と分類するものではないと整理しています。
多くのダイヤモンドでは、蛍光の有無が通常環境下で大きな外観差を生むことは少ないとされています。
また、強い青色蛍光を持つ石は、わずかに黄色みを帯びた個体において、光の条件によってはより白く見える方向に働く可能性も示されています。
蛍光は欠点ではなく、その石の個性のひとつ。
大切なのは実際の光の中でどう見えるかです。


※写真:グリーンブルーの蛍光を持つイエローダイヤ
4)ファンシーカラーの蛍光性はさらにカラフル
カラーレスダイヤモンドの場合、一般的に蛍光はブルーが多く、None(全くない)〜Strong(強い)という範囲で語られることがほとんどです。
しかし、ファンシーカラーダイヤモンドになると世界はさらに広がります。
蛍光の出方も実にさまざま。
ブルーだけでなく、イエロー、グリーン、オレンジ、レッドなど、多彩な発光を示す個体も存在します。
文字通り蛍の光のようにふわっと現れる発光は、色鮮やかなダイヤモンドほど強く表れることもあり、元の色の楽しさに加えて、もうひとつの価値を感じさせてくれます。
光の下の美しさ。
紫外線下で現れるもうひとつの表情。
二つの顔を持つ魅力は、ファンシーカラーならではの楽しみ方です。

※写真:グリーン系のファンシーカラーダイヤ

※写真:蛍光すると全く別の色に変化

※写真:濃淡ふたつのピンクダイヤ

※写真:どちらもブルーに蛍光
5)レポートでチェックできます
蛍光は4Cには含まれませんが、ソーティングメモやグレーディングレポートには必ず記載されています。
お手持ちのダイヤモンドにレポートがある方は、ぜひ「Fluorescence」の欄をご確認ください。
そこには、その石の“もうひとつの顔”が記されています。

※写真:Fluorescenceの表記(Very Strong Blue)

※写真:ファンシーライトグレイダイヤモンド

※写真:ブラックライトを当てると強いブルーの蛍光に
まとめ|青い光を探す宝石の旅へ
富山の海で出会うホタルイカの青い光。
ブラックライトの下で現れるダイヤモンドの蛍光。
仕組みは違っても、暗闇の中でふっと浮かび上がる光には、人の心を惹きつける力があります。
蛍光のあるダイヤモンドや、ファンシーカラーダイヤモンドは、写真や言葉だけでは伝えきれない“表情”があります。
実物を前に、光の環境を変えながら一緒に見比べると、同じダイヤモンドでも驚くほど印象が変わります。
.C.BARのサロンがある富山市はこの時期からホタルイカ、そして海の宝石と呼ばれる白エビもそろそろ出回ります。
是非、宝石と美食の旅を楽しみに遊びにいらしてください。

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更新日:2026/2/26
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