真珠検定は、一般社団法人日本真珠振興会が、宝飾販売に携わる方々を対象に「真珠アドバイザー」を育成する目的で実施している資格制度です。
花珠とは?花珠真珠鑑別書の真実|“言葉”に頼りすぎない真珠選び
Hana-dama Pearls: Beyond the Label

今日は少し辛口です。
ただし最初にお伝えします。本稿は特定の企業・鑑別機関・販売店・個人を批判する目的ではありません。
真珠指針の考え方を軸に、言葉が独り歩きしたときに起こりやすい誤解を、現場目線でほどいていきます。
まず「花珠」の本来の位置づけ(真珠指針の整理)
「花珠(はなだま)」は、もともとアコヤ真珠の“浜揚げ珠(加工前)”の中で、とりわけ美しい珠を指す、業界の言葉として整理されています。
ここで大切なのは、花珠が“すごい珠”というよりも、言葉の出発点が「加工前の珠」にあることです。
そのため、製品(ネックレスなど)にそのまま当てはめると、受け取り方がズレやすくなります。
引用|花珠とは(真珠指針)
真珠指針によれば、花珠(はなだま)は「加工前の浜揚げ真珠」を指す言葉で、しかも出現率が非常に低い、とされています。
(出典:一般社団法人日本真珠振興会『真珠指針2020』10.1 花珠)
花珠は「概念」/鑑別は「事実」
花珠は、そもそも“概念”です。
一方で鑑別は、真珠が何であるか、どんな性質があるかを確かめる“事実”の領域です。
ところがこの2つが、いつの間にか混同されてしまいました。しかも残念なことに、業界の中ですらこの違いが言語化されないまま、言葉だけが一人歩きした面があります。
なぜ「花珠鑑別」がここまで広がったのか
ある時期から「花珠」という言葉を使った鑑別書が普及し、業界にも一般のお客様にも強く刺さりました。
理由はシンプルで、真珠の見極めが難しいからです。
白だけでも、感じる色は本当に幅がある
輝き方(テリ)にも種類がある
形、表面の状態、真珠層(巻き)まで関わる
ネックレスになると「揃い(連相)」で印象が決まる
普段見慣れていない方が、目の前のネックレスを見て「こちらが良い」「こちらはそうでもない」を正確に判断するのは、正直かなり難しいと思います。
一般のお客様が“分かりやすい目印”として書類に頼るのは自然な流れです。

私の体験として
私も、真珠をきちんと学ぶまでは分かりませんでした。今も学び続けています。
実は、真珠の専門資格を目指していた頃、実技で落ちた経験があります。その時は「自分がどれほど届いていないか」すら分かっていませんでした。
合格するレベルの目利きは、思っていた以上に厳しい。
さらに真珠は生物起源なので、養殖から上がってくる真珠の“全体の傾向”が年によって変わることもあります。毎年同じ判断をしていればよい、というわけではありません。
長年携わるプロでも簡単ではない。その現実を知ってから、学び方も、見方も変わりました。
だからこそ、真珠の世界を“書類ひとつで単純化しすぎる危うさ”も、同時に感じています。

花珠真珠鑑別書で起こりやすい誤解
誤解①:「花珠=最高品質」と思い込みやすい
“花珠”という言葉は強いので、鑑別書があるだけで「最高級なんだ」と感じやすくなります。
でも実際は、“最高の範囲”とされる中にも幅がある。範囲の中の違いを説明してこそ、お客様が腑に落ちます。
誤解②:判断の物差しが「一本」に見えてしまう
鑑別機関が違えば、表現の仕方が異なる場合があり、受け取り方に差が出やすい面があります。
ここで言いたいのは、どこが良い悪いではなく、お客様が“同じ物差し”だと誤解しやすい構造がある、という点です。
誤解③:「鑑別」と「グレーディング」が混ざりやすい
ざっくり言うと——
鑑別:それが何か、天然か、処理の有無など“性質”を確かめる
評価(グレーディング):品質を段階的に整理する(ただし統一基準が難しい分野もある)
真珠は、見た目の要素が多く、しかもネックレスは珠がたくさん並ぶ。
だからこそ、書類だけで完結させるほど単純ではありません。
実物で見るべきポイント(7つ)
パールネックレスは、“品質基準(客観寄り)”と“好み(主観寄り)”、そしてネックレス特有の“組み立て”で決まります。
【品質基準】① 巻き(真珠層の厚み)
真珠層が整っているほど、光がにごらず奥行きが出やすくなります。ネックレスは珠数が多いぶん、一本としての見極めが難しくなります。
【品質基準】② テリ(光沢)
テリは単に「ツヤツヤ」ではありません。真珠層が整うと、内側から光が立ち上がるような奥行きが出ます。条件が揃うと干渉色が見えることもあります。
【品質基準】③ キズ(表面状態)
凹凸などの“見えるキズ”だけでなく、加工由来のものが混ざることもあります。単独では決めず、巻きやテリとセットで見ます。
【好み】④ 色(見え方)
同じ白でも、やわらかく見える白、すっきり見える白があります。照明で印象が変わりやすいので、違う光でも確認できると安心です。
【好み】⑤ 形
真円は整って見えやすい一方で、形だけで価値が決まるわけではありません。好みと装いに合うかで選び方が変わります。
【好み】⑥ 大きさ(珠サイズ)
珠が大きいほど主役感は出ますが、“ちょうどよさ”は人と用途で変わります。
【ネックレスの組み立て】⑦ 連相(一本としての揃い)
色、テリ、形、大きさがどの程度揃っているかで、着けたときの整い方が変わります。連相が整うほど“きちんと感”が出やすく、上品に見えます。
上記のポイントは、私から“分かる言葉”でお伝えすることができます。
ただ、お客様がご自身で、目の前のネックレスを見て「どちらが自分にとって良いか」を判断するのは、とても難しいことです。
真珠は、巻き・テリ・キズのような品質基準と、色・形・大きさのような好みが重なり、さらにネックレスは連相で印象が決まります。
だからこそ、真珠を知るプロの目線が必要だと私は考えています。

結論:真珠選びはお店選びから
ここまで読んでいただくと分かると思います。
真珠ネックレスは、要素が多く、しかも“総合”で見ないといけない。
だから私は、こう考えています。
真珠選びはお店選びから。
目の前の真珠がどんな品質で、どんな個性があり、
身につけたときにどんな印象になるのか。
それを適切に説明し、お客様自身が腑に落ちて選べることを大切にしています。

これからも、役に立つ“基準”を増やしていきます
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著者:嶋直樹(J.C.BAR)|1級ジュエリーコーディネーター/(一社)日本真珠振興会 真珠検定委員会 認定 真珠スペシャリスト(SP/日本で2人目)
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更新日:2026/2/1
富山県公安委員会許可 第501150000183号
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